生活習慣病 〈マイカーとマイカラダの手入れの類似点〉
人間の体を自家用車と比較して考えるとよく理解できるようです。皆様の周りにも愛車をぴかぴかに磨くだけでなく、メカの手入れを怠らず大切に扱って、事故も故障もなく長く乗っておられる方がいることでしょう。車も人間の体も大事にメインテナンスをして使うのと、定期点検もせず無茶な使い方をするのとではその持ちが違うのは当然のことです。
人間は一生に数台の自家用車を乗り換えることが珍しくありません。しかし人間の体はたった一つを一生かけて使うことになりますし、それも車のように部品を取り替えることもおいそれとはできません。故障の部分を抱えたまま不自由な余生を送られる方のいかに多いことでしょう。
さて人間の体の部品でどこが一番傷みやすいでしょうか。それはなんといっても血液を体の隅々に送るホースである動脈です。これが年数とともに朽ちて行くのは人間の宿命ですが、使い方で随分と持ちが違います。朽ちたときに発症する代表的なものは心筋梗塞と脳梗塞です。他に動脈瘤、腸間膜動脈血栓症、下肢閉塞性動脈硬化症などが、起こり得ます。その結果、日本人は約3分の1の方が癌で、残りの3分の2は動脈が傷むことによって死亡しています。
糖尿病のコントロールが悪かったり、タバコを止めることができなかったり、高血圧や高コレステロール血症を放置すると、動脈硬化は速く進みます。血管の朽ち方には個人差がありますが、健康診断などで指摘された方は格別に気を付けるべきです。この頃は50歳前後で心筋梗塞に見舞われることがそう珍しくありません。予防医学の進歩で高血圧や高コレステロールなどのコントロールが可能になった現在、みすみす若くして命を失ったり、重篤な後遺症を残してしまわれるのはとても残念なことに思われます。何らかの症状が出てしまってからの対応には限界があります。健康寿命を全うできるような対策を、お元気なうちにスタートされますようお勧めします。